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『またお前か』のあげもさんから強奪した一万打記念フリー小説です。
くそっ!なんだこのフェアリーたちは!SUKI!!!




ペンギンが珍しくにこにこ笑顔でおれに会いに来た。
いや、おれに会いに来たというのは間違いかもしれない。

「これ、いいだろ? あげないけど」
「別にいらん」

おれの部屋に到着するなりこればかりだ。かれこれ十分ぐらい新しいピアスの話をしている。普段は引き結んだ口元も今はだらしなく弛んでいて、おれにとってはそれが不愉快だった。恋人のおれに会いに来たんじゃない。こいつは今日、

「やっぱり船長がくれたピアスはセンス良いな」

ということをひたすら自慢しに来ただけらしい。

「シトリントパーズなんだけど、もう嬉しくてさ」
「……そうか」

おれの部屋に入ってくるなり帽子を脱いだペンギンの耳には初めて見る黄水晶のピアスがついていた。おれだって最初は嬉しそうにそれを見せびらかしてくるペンギンに相槌を打っていた。
けど、なあ。

「本当は赤とか黒が良かったんだけどな」
「ああ」
「でも黄色って、船長の服がそうだし」
「そうだな」
「おれはその船員だし」
「…ん」
「だったらこれもイケるなあって」
「……ふーん」

だってこれじゃあ、惚気を聞かされてるみたいだろう?
勿論、ペンギンが嬉しそうにしている姿を見るとおれも嬉しいと思う。実際に心から喜んでいるようだから下手なこと言って機嫌を損ねたくない。損ねたくはないが、でもしかし、面白くないものは面白くない。

「キラー…話聞いてる?」
「聞いてる」
「でも、さっきから生返事ばっかりだ」

椅子に座ったペンギンがそう言って唇を尖らせる。そうしたいのはおれの方なんだがな。お前、さっきから惚気ばっかりだ。ペンギンの話を聞き流すなんてするわけがないだろう。ペンギンの声は普段会えない分、会えるときにいくらでも聞いておきたいと思っているのに。

「もう、キラーなんて知らね」

ペンギンはそう思ってはくれないんだろうか。どうやら拗ねたようで、おれに背中を向けてしまった。結局機嫌を損ねさせてしまったらしい。部屋から出て行かないということはそこまで怒ってるわけではないと思うが、苦笑いが漏れる。
ペンギンは結構子どもっぽいところがある。自分の船でもこんな態度をするのだろうか。ペンギンは耳にぶら下がっている黄水晶をちゃりちゃりと弄っている。部屋に響くのは時計の秒針が刻む音。おれが何か言うまで話さない気か。
他にどうしようもないので、おれはつけていた仮面を外した。腰掛けていたベッドから立ち上がって座ったままのペンギンに近づき、後ろから抱きしめた。

「わっ」
「すまない。怒ったか?」

折角会えたのだから仲良くしたい。言葉にしないが伝われ、と祈ってペンギンのこめかみにキスをする。腕の力を強めると、ペンギンの腕がおれの腕に添えられる。振り返った顔はやっぱり笑顔だった。頬に返ってくるキスに、嘘だよ、怒ってないとペンギンは優しく言った。

「だって、キラーが拗ねてるの面白くてさ」
「……そうか?」

仮面はしていたんだがな。ペンギンには気を使ったつもりだが態度が露骨だったようだ。

「お前がトラファルガーの話ばかりするから…」
「それ意図的だって」

つまりおれは、からかわれていたということか。ペンギンはくすくすと笑い声を上げている。脱力すると共に少し安堵した。良かった、トラファルガーに危うく立場を奪われるのかと思ったから。

「嫉妬だよな、それって」
「あーあー、なんとでも言え」

合ってるよ。くそっ、恥ずかしい。肯定するとペンギンがおれの腕を軽く叩く。開放してやると、ペンギンは体の向きを変えておれを見上げる。あのな、とペンギンとおれの両手が繋がった。


「船長に貰ったピアス、気に入ってるんだ」
「ああ」
「最初は黄色ってどうかなって思ったんだけど」
「うん」
「でも、黄色って金色と一緒だろ」
「そうか?」
「そうなんだよ。で、金色ってキラーの髪色だろ」
「…さっきトラファルガーの服の色って言ってなかったか」
「キラー、顔にやけてる」


しまった、今は仮面がないんだった。ペンギンが笑う。繋がっている手が熱い。多分ペンギンの方。ああでも、おれかもしれないな。今ちょっと胸が痛いから。


「キラーのことは」


ペンギンが目線を下に落とした。向けられているのは恐らく手だろう。ペンギンの手はおれのより小さい。

「普段会えないときでも、ずっと考えてるから」
「そうか」

ペンギンの耳で黄水晶が揺れている。トラファルガーからどうやって受け取ったかは知らないが、それを見たとき、ペンギンはおれを思い出してくれたんだろうか。

「おれも、ずっとペンギンのこと考えてる」
「なんだそれやめろよ気持ち悪い」
「…、それは酷くないか」
「はは、嘘だよ」


嬉しいよ、と付け足してペンギンはおれの手を放す。


「な、キラー」
「なんだ」
「おれはな…普段会えない分、会えたときにはいくらでもお前を感じてたい」
「……ああ」

おれがただ頷くと、ペンギンは立ち上がっておれの胸にすっぽりと納まった。数分前に頭を掠めた疑問は結局杞憂だったらしい。弛む頬が押さえられない。目の前にある耳たぶを舐めると、ペンギンはびくりと体を揺らした。つられてトラファルガーの服の色、もといおれの髪色の黄水晶が跳ねる。

「っ…、エロいことしたいって言った覚えはないけど」
「おれを感じたいんだろ?」
「えー」
「おれをからかったんだからそれぐらい我慢しろ」

不満そうな顔をするペンギンを抱きしめると、それでも手を回してくれるのはOKサインで。
誰にも渡したくないなと、心の底から思った。







幸せ注意報


(もうお前以外考えられない!)



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「俺・・・一万打二万打記念上げたら・・・あげもさんのフリー小説もらうんだ」という死亡フラグをなんとか回避してここまできました!
見よ!この溢れんばかりの幸せオーラ全開のキラペンを!!いやらしさの感じない爽やかさかつエロい文を!!もうトキガネの腐った頭がみるみる浄化されていきますよwww

あげもんさん!一万打おめでとうございます!!
これからもstkさせていただきますね^q^
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