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珍しくアンニュイなカゲロウさんのお話。
若干カゲ→ロー気味?なのかな??
ごふりと、セキを一つ零す。
途端に口内に広がる鉄の味に顔をしかめて、口角から零れ落ちた血を右手でぬぐった。
変装用に買ったばかりの服の袖が赤く染まったけど、腹の部分はすでに赤を通り越してどす黒く染まってしまっている。
「あー・・・しくじったなぁ・・・」
偵察していた敵海賊に見つかり、命からがら逃げ出したのはいいものの、派手にやられてしまった。こう大量に出血してしまってはどこに行っても見つかってしまう。迂闊に船には戻れない。
その上、残りの体力的に敵はおろか、血の匂いに集まる野犬にすら抵抗できないだろう。
傷のせいでどくどくと熱くなっていた身体も、すでに冷たくなってきている。
「ホント、ついてない・・・」
人気のない路地裏。
コンクリートの壁を背に立っていた俺は、そのままずるずると下にずれるように座り込んだ。
背の高い建物に囲まれている空間。そこから見上げる長方形に切り取られたかのような星空は雲ひとつなかった。
何故か笑いがこみ上げてきて、喉をならしてくつくつと笑った。
ぽたりぽたりと、地面に赤い雫が落ちていく。
『ねぇロー。もし俺の方が先に死んだらローはどうする?』
ハートの海賊団に入って間もない頃に口にした言葉を思い出す。
船長の死を見届けるために同行している身として、聞いてはいけないことだと思っていても疑問のつきなかった俺が、バカな質問をした時のことだ。
古く小さな帆船の中にある広間の片隅で、ペンギンとキャスケットが肩を寄せ合って寝ているのを尻目に、昼間に新しい街で何十冊と買い込んだ本に読みふけっているローにむけて言ったんだっけ。
走馬灯と言うにはあまりにピンポイントな思い出だなぁと、俺は目を閉じた。
『そんなことありえねぇよ。』
そうローは答えた。
何故?と問い返せば、文字をせわしなく追っていた目がちらりとこちらをむく。
テーブルの対面に座った俺を見返したローは、再び本に視線を戻し、至極どうでもよさげに言葉をこぼしていった。
『お前は俺を裏切らないと誓った。』
『俺がどこで何をやろうが、何を愛そうが、なんの為に生きようが、どう死のうが、』
『お前はお前としてそこにいると、お前自身が誓ったんじゃないのか?』
『お前は、嘘はつけても誓いを違えるようなことはしねぇ。』
『それは俺が一番よぉく知っている』
ぱたんと、読み終えた本を閉じて次に読むものを物色するローに、俺は何の反論もできなかった。バカみたいに口をあけて、目を丸くして、ローを見ていた。
『お前は俺より先には死なねぇよ』
そう言いながらにやりと笑みをこぼすローは、子供が悪巧みでもしているかのようなにやにや笑いだった。
『まぁ万が一、お前が俺のしらねぇとこで勝手に野たれ死のうとしたら・・・
「・・・俺が叩き起こしてやるって、言わなかったか?」
記憶と現実の声が重なり、俺は瞼を押し上げた。
淡い夜の闇にすらりと細い身体が浮かび上がる。
思い出と寸分違わぬ楽しげな笑みを見せるローに、俺は笑って答えた。
「・・・や。もう起きたよ」
「へぇ。じゃあその動かねぇ身体引きずって、這って船まで戻ってくるっていうのか?」
「うーん。そこまでしたらさすがに死んじゃうかな」
あははと笑う俺の前にしゃがんだローは、いつの間にか再び口角から零れていた俺の血を親指で拭った。
いつも冷たいと感じるローの指が、その時だけやたらと温かかった。
「ねぇロー。」
「なんだ?」
「・・・俺、死ぬの?」
「さぁな。いつかは死ぬんじゃないか?」
「そっか。・・・そうだよねぇ。」
それがはたして今なのか、ずっと先の話かはわからないけれど。
この世で一番大事だと思える相手の死を見れずに死ぬのは、耐え難い苦痛だった。
「ねぇロー。」
「なんだ?」
「もし俺の方が先に死んだらローはどうする?」
答えのわかりきってる質問に、ローはにやりと笑って答えた。
『そんなことありえねぇよ。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ウチのカゲロウ好き!と言ってくださった独楽一さんに捧ぐ。
・・・いや、勝手に捧げてるだけなので無視してくださっていっこうにかまいません^q^
そしていきなり死にかけててごめんなさい(笑)一応生きてますwwww
「ねぇロー。」
「なんだ?」
「・・・俺、死ぬの?」
「さぁな。いつかは死ぬんじゃないか?」
「そっか。・・・そうだよねぇ。」
それがはたして今なのか、ずっと先の話かはわからないけれど。
この世で一番大事だと思える相手の死を見れずに死ぬのは、耐え難い苦痛だった。
「ねぇロー。」
「なんだ?」
「もし俺の方が先に死んだらローはどうする?」
答えのわかりきってる質問に、ローはにやりと笑って答えた。
『そんなことありえねぇよ。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ウチのカゲロウ好き!と言ってくださった独楽一さんに捧ぐ。
・・・いや、勝手に捧げてるだけなので無視してくださっていっこうにかまいません^q^
そしていきなり死にかけててごめんなさい(笑)一応生きてますwwww
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文とか絵とかコスプレとか色々手を出していたりするダメ人間。いろんなことに迷走気味
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