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キドロ風味でロー独白。短文デス。一応事情後なカンジですがエッチ要素は皆無。
海が大好きなキッドさんとか萌える。
お前、海に潜ったことあるか?
ついさっきまで身体をつないでいた男が部屋の窓を静かに見つめて、そう問いかけた。
身体のダルさから寝かかっていた意識を浮上させ、男に視線を送る。
男はこちらを見向きもしない。
いったい何がそんなに楽しいんだ?と疑問に思いながらその視線の先を追う。
分厚いガラスに阻まれた暗い海がそこにあった。
島に停泊させているとはいえ、船体の半分以上が海に沈んだままのこの船は、昼も夜も関係なく海の中しか映さない。
時々窓の近くを小さな魚が横切り、海底から上がる気泡が見えるだけ。
おい聞いてるか?と少しイラついた声と視線。
ここで答えをぼかしたところで良いことは何もないため、俺は素直に「ねぇよ」と答えた。
俺の故郷は一年の半分以上が雪景色になっちまうような場所だったから、海に入って泳ぐという発想自体なかったからだ。
海兵や町の自警団は水難事故防止のために訓練として短い夏に泳いでいたりしていたが、俺はそんなものに興味はなかったし、悪魔の実を食った時点で泳げないことは知っていたため、無駄な努力はしなかった。
そんなガキの頃に食っちまったのかよ。と男が笑う。
言外に「もったいねぇ」と言ってるように聞こえた。
お前は泳いだことあるのか?と興味半分で聞くと、あぁまぁな、と答えた。
俺の故郷とは真逆の環境で育った男は、暇さえあれば当時から一緒にいた親友――今の船の副船長とよく潜っていたらしい。
幼い頃は浅瀬で魚を獲っているだけだったが、それを繰り返すうちに、だんだんと深くまで潜れるようになってくる。だがそれにも限界があって、息がつくギリギリまでしか潜ることができない。
それがいつも悔しかったと、男は苦笑する。
青く広大な海の底の、深く暗い、太陽の光が届かなくなるまで行ってみたかったらしい。
一緒に潜った少年は「こわい」「いきたくない」と首をふったらしい。
動物の持つ防衛本能からすればそれが当たり前だ。
普段太陽の下で暮らしている存在がそんなところに行けばどうなるか判るはずなのに、それでも俺は行ってみたかったと、男は頬杖をついて、また窓の外を眺める。
拗ねてるようにも見えた。
“悪魔の実を食べた者は海から嫌われる”
その言葉の通り俺達は海に投げ出されるとたちまち力を失い、底へ底へと身体が沈んでいく。
海賊をはじめていくらかたった頃、俺はその感覚がどんなもんか知りたくなって、わざと船のやつらの視線が届きにくい場所から海に飛び込んだことがある。
身体に海の水が触れたその瞬間、心臓がドクリと波打つ。
その途端、突然肺が膨れ、否応なく口が開く。
(息を止めることもできないことはその時知った)
ついさっきまで身体をつないでいた男が部屋の窓を静かに見つめて、そう問いかけた。
身体のダルさから寝かかっていた意識を浮上させ、男に視線を送る。
男はこちらを見向きもしない。
いったい何がそんなに楽しいんだ?と疑問に思いながらその視線の先を追う。
分厚いガラスに阻まれた暗い海がそこにあった。
島に停泊させているとはいえ、船体の半分以上が海に沈んだままのこの船は、昼も夜も関係なく海の中しか映さない。
時々窓の近くを小さな魚が横切り、海底から上がる気泡が見えるだけ。
おい聞いてるか?と少しイラついた声と視線。
ここで答えをぼかしたところで良いことは何もないため、俺は素直に「ねぇよ」と答えた。
俺の故郷は一年の半分以上が雪景色になっちまうような場所だったから、海に入って泳ぐという発想自体なかったからだ。
海兵や町の自警団は水難事故防止のために訓練として短い夏に泳いでいたりしていたが、俺はそんなものに興味はなかったし、悪魔の実を食った時点で泳げないことは知っていたため、無駄な努力はしなかった。
そんなガキの頃に食っちまったのかよ。と男が笑う。
言外に「もったいねぇ」と言ってるように聞こえた。
お前は泳いだことあるのか?と興味半分で聞くと、あぁまぁな、と答えた。
俺の故郷とは真逆の環境で育った男は、暇さえあれば当時から一緒にいた親友――今の船の副船長とよく潜っていたらしい。
幼い頃は浅瀬で魚を獲っているだけだったが、それを繰り返すうちに、だんだんと深くまで潜れるようになってくる。だがそれにも限界があって、息がつくギリギリまでしか潜ることができない。
それがいつも悔しかったと、男は苦笑する。
青く広大な海の底の、深く暗い、太陽の光が届かなくなるまで行ってみたかったらしい。
一緒に潜った少年は「こわい」「いきたくない」と首をふったらしい。
動物の持つ防衛本能からすればそれが当たり前だ。
普段太陽の下で暮らしている存在がそんなところに行けばどうなるか判るはずなのに、それでも俺は行ってみたかったと、男は頬杖をついて、また窓の外を眺める。
拗ねてるようにも見えた。
“悪魔の実を食べた者は海から嫌われる”
その言葉の通り俺達は海に投げ出されるとたちまち力を失い、底へ底へと身体が沈んでいく。
海賊をはじめていくらかたった頃、俺はその感覚がどんなもんか知りたくなって、わざと船のやつらの視線が届きにくい場所から海に飛び込んだことがある。
身体に海の水が触れたその瞬間、心臓がドクリと波打つ。
その途端、突然肺が膨れ、否応なく口が開く。
(息を止めることもできないことはその時知った)
肺に水が満たされていく嫌な感覚に襲われながら、段々と遠のいていく海面の光を見つめる。
部下の一人が飛び込んでくる姿がかすかに見えた。
俺を追って深く深く潜ってくるそいつに手を伸ばそうとしたが、身体はぴくりとも動かなかった。
それどころか、だんだんと海底に向かって身体が沈んでいく。
なにか、得体の知れない無数の手に身体を掴まれ引き寄せられていくようだった。
俺を助けに伸ばされた手が、俺の体に触れた瞬間、その力は弱まったが、あれは一体なんだったのか・・・俺は未だにわからない。
お前はあれ、なんだと思う?と、なんとなく聞いてみた。
この男が能力者になってから一度も海に身を投げたことがないはずがない。
男は「さぁな」と答えた。なにか考えているようだった。
もう一度あの海底から感じた力に近づきたいと思ったことはある。
だが、俺を海底から引き上げ、瀕死になっていた俺に必死に人工呼吸を施し、意識を浮上させようと必死に呼びかけていたやつが「もう二度とするな!」と泣きながら頬をブッ叩いてきて以来、一度も試していない。
「ただ・・・」と、男は迷いながら言葉を紡ぐ。
怖いとか恐ろしいとか、そんなものまったく感じなかった。
息もできねぇし、なんも考えられねぇし、身体もうごかねぇし、死ぬかもしれねぇってのに
なんか・・・なんだろうな・・・・・・
無性に、嬉しかったんだ。
そう言って、男は笑った。
まるで恋でもしてるみたいだな、と思ったが、俺は咄嗟に口を噤んだ。
それを見た男が暢気に「どうした?」なんて聞くもんだから「うるせぇよ」とその口を塞いでやった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
久しぶりの更新はキドロです。カップリング要素皆無だけどな!wwwww
致した後にダラダラしてる空気が好きです。
能力者が海に嫌われる、というのは海好きな人にとっては本当に残念なことなことなんだろうな~なんて考えてました。
キッドは海大好きだといいな!ローは・・・どうなんだろう?好きなのかな?たぶん本人もわかってないと思います。好きでも嫌いでもない。でも特別な位置づけみたいなかんじかな。
あとローを助けたのはペンギンです。暴力はいかんよ暴力は(笑)
部下の一人が飛び込んでくる姿がかすかに見えた。
俺を追って深く深く潜ってくるそいつに手を伸ばそうとしたが、身体はぴくりとも動かなかった。
それどころか、だんだんと海底に向かって身体が沈んでいく。
なにか、得体の知れない無数の手に身体を掴まれ引き寄せられていくようだった。
俺を助けに伸ばされた手が、俺の体に触れた瞬間、その力は弱まったが、あれは一体なんだったのか・・・俺は未だにわからない。
お前はあれ、なんだと思う?と、なんとなく聞いてみた。
この男が能力者になってから一度も海に身を投げたことがないはずがない。
男は「さぁな」と答えた。なにか考えているようだった。
もう一度あの海底から感じた力に近づきたいと思ったことはある。
だが、俺を海底から引き上げ、瀕死になっていた俺に必死に人工呼吸を施し、意識を浮上させようと必死に呼びかけていたやつが「もう二度とするな!」と泣きながら頬をブッ叩いてきて以来、一度も試していない。
「ただ・・・」と、男は迷いながら言葉を紡ぐ。
怖いとか恐ろしいとか、そんなものまったく感じなかった。
息もできねぇし、なんも考えられねぇし、身体もうごかねぇし、死ぬかもしれねぇってのに
なんか・・・なんだろうな・・・・・・
無性に、嬉しかったんだ。
そう言って、男は笑った。
まるで恋でもしてるみたいだな、と思ったが、俺は咄嗟に口を噤んだ。
それを見た男が暢気に「どうした?」なんて聞くもんだから「うるせぇよ」とその口を塞いでやった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
久しぶりの更新はキドロです。カップリング要素皆無だけどな!wwwww
致した後にダラダラしてる空気が好きです。
能力者が海に嫌われる、というのは海好きな人にとっては本当に残念なことなことなんだろうな~なんて考えてました。
キッドは海大好きだといいな!ローは・・・どうなんだろう?好きなのかな?たぶん本人もわかってないと思います。好きでも嫌いでもない。でも特別な位置づけみたいなかんじかな。
あとローを助けたのはペンギンです。暴力はいかんよ暴力は(笑)
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トキガネ
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どこにでもいるオタク。
文とか絵とかコスプレとか色々手を出していたりするダメ人間。いろんなことに迷走気味
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