どこにもたどりつかない。 二人の素顔02 忍者ブログ
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キラペン小話。続き物。
別名ペンギン乙女化計画(笑)


 


「・・・なんだキラー屋?そのザマは」
夕刻近くになり、ローはいつも通りキラーの部屋にいるであろうペンギンを呼んで帰ろうとしたが、意中の相手は部屋のどこにも見当たらないことに首をかしげる。
そして、部屋の扉を開けてすぐ下に転がっているキラーを見てニヤリと笑った。
床に大の字になって天井を見上げていたキラーは微かに眉をしかめ、

「逃げられた」

と、そうは聞こえなくとも悔しそうに声を漏らした。
長い髪に隠れているが、左頬が少し腫れているのも見て取れる。
部屋を見回せば、倒れた椅子や散乱した紙や本、カップの破片が散らばっている中、テーブルの上に置かれた帽子と仮面だけが何事もなかったかのように鎮座している。
それを見たローは部屋に入り、ペンギンの帽子を手に取った。

「俺を置いて先に帰るとはな。キラー屋。お前俺の仲間に何してくれた?」
「それはこっちの科白だ。」

キラーの素顔を知っていながら、ペンギンに意地の悪い命令を下したローに冷たい視線を送り、キラーは上半身だけむくりと起き上がった。

「で?何をしてたんだ?」

再度ローが問いかけると、キラーは緩慢な仕草で髪をかき上げて先程までペンギンが座っていた椅子に腰掛けるローを見上げた。

「俺の顔を見る代わりに帽子も取ってみろと。」
「それだけか?」
「・・・・・・・・・。」

答える気のない長い沈黙がその答えだった。
逸らされた視線にローは笑みを濃くすると、自分の船に帰るべく席を立ち上がった。
キラーの隣を通り過ぎる際、手にしていた帽子を金色の髪をした頭にすっぽりと被せる。

「・・・持って帰ってやらないのか?」
「責任持ってお前が来い。」

心底面白そうに笑って去っていくローに、キラーはクスリと笑って手をふった。





一方、ハートの海賊団の船では両手にマグカップを持ったキャスケットが狭い廊下をゆっくり歩いていた。
アザラシ柄のマグカップにはミルクココア。ペンギン柄のものにはブラックのコーヒーが注がれている。零さないように慎重に船内を進み、キャスケットは船長室の手前にある部屋の前で足を止める。

「ペンギン、入るよー?」

部屋の主の返答を待たずに器用に腕で扉を開けたキャスケットは、部屋の奥に設置されたベッドのふくらみを見て溜め息をついた。
航海日誌が開いたままになっている机にカップを2つ置いて、キャスケットはベッドの端に腰掛ける。
数秒なんと声をかけていいか悩んだ後、キャスケットは布団に包まって見えないペンギンを見て

「あの~・・・ペンギン?」

と、恐る恐る声をかけた。

「・・・・・・・・・・・・。」
「もう何があったか聞かないからさ、とりあえず落ち着きなよ」
「・・・・・・・・・・・・。」

帽子を無くしていた上、船員と一言も言葉を交わさずに早々部屋に篭ろうとするペンギンの様子に、皆「なにがあったんだ」と心配した様子で声をかけたが、当の本人は頑として何も語らずにフテ寝を決め込んでしまった。
はたから見れば混乱していると判らないだろうが、付き合いの長いキャスケットには、ペンギンが珍しく混乱している様子が手にとるように判った。
普段は年下で皆からからかわれることの多いキャスケットだが、こういったことに関してはカンが働く。
返答は期待していないのか、キャスケットは黙って持ってきたマグカップのアザラシ柄の方を手に取って甘ったるいミルクココアをゆっくりと飲んだ。

『やっぱ俺らのせいかなぁ・・・』

ペンギンがどうやらキラーのことを気になりだしていることに気付いたキャスケットは、面白がって便乗したカゲロウと一緒に、それとなく二人が仲良くなるように仕向けてきたのだが、今度ばかりはやりすぎたかもしれないと反省していた。

『帽子はいいにしても船長忘れて帰ってくるとか・・・どんだけテンパってたんだよ』

今まで見たことがないほど(無表情で)取り乱して(無表情で)混乱しまくっていたペンギンを見た瞬間、カゲロウがまるで船長のようにニヤリと楽しそうな笑みをうかべたため、このままだと確実にペンギンがオモチャにされてしまう危機感を感じ、今のうちになんとか修復をはかろうとキャスケットは部屋に乗り込んだのだが、結局何もできずじまいに終わりそうだな、と半ば諦め半分でカップに口をつけていた。

「・・・・・・・・・キャスケット。」
「はいっ!?な、なにっ!?」

もう帰ろうかと思った矢先に、布団の中から声が聞こえて驚いたキャスケットは、一瞬カップを落としそうになった。なんとか落ち着いて座りなおしたキャスケットは、ペンギンの次の言葉を静かに待つ。
ややして、ペンギンの深く沈んだ声がぽつりと部屋に響いた。

「俺は副船長失格だ。」

それを聞いたキャスケットは、ペンギンがなぜここまで取り乱しているのかが判った気がした。
しかし、どんな言葉をかければ、彼の心が晴れるかなど、年若いキャスケットにはわからなかった。

「ペンギンはペンギンだよ。」

そんな当たり前のことを口にすることしかできない自分を内心叱咤しながら、キャスケットはカップの中身を飲み干した。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だんだん女々しくなっていく受け臭いペンギンをどうにかしようとしたら何故かこんな風になってしまったでござるの巻(副題長いwww)
ペンギンは責任感が強いので、自分の感情一つにしても物凄い思い悩みそうです。頭良過ぎる人は鬱になりやすいといいますが、そんなイメージ。
はやくラブラブまで持って行きたいです^^;

あと、ハートクルーのマグカップは皆かわいい動物柄だと萌えますwww
ローはホワイトタイガー柄。ペンギンはペンギン柄。キャスケットは白いゴマフアザラシの子供の柄。ベポは船長のお古の白熊柄。カゲロウはパンダ柄あたり。妄想ですよ妄想www^q^
 
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