どこにもたどりつかない。 戯れの決闘03 忍者ブログ
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キラペン決闘連載!
決着は次回に持ち越し。





「キラーの奴、楽しそうだな」

目の前で繰り広げられる戦いを鑑賞中だったキッド海賊団の誰かが呟いた。
その言葉を皮切りに、皆が口々に発するのは「いい勝負だ」「まだ本気じゃねーだろ」という、キラーの勝利を疑わない言葉ばかりだった。それを静かに聴いていたのは、船員の中でも飛びぬけて背の高い二人だった。

「ルイはどう思う?」

身体中にはしる縫合痕とドレッドヘアという、ツギハギ人形のような見た目の男が、隣に立つ男に問いかける。

「そうだな・・・」

顎に手をあてて考える男は、黒い衣装に網タイツという特徴的すぎる格好をしているが、いかんせん、キッド海賊団は船長に輪をかけた奇抜集団であるため、目立つ見た目にも関らず、見事に集団に溶け込んでいた。

「船長が勝てと言ったからには、勝つだろ」
「・・・まぁ、そうだけどさ」
「それともお前は、あのペンギンとかいう男にキラーがやられている所でも見たいのか?ジャック」

ジャックと呼ばれた男は、そんなことない!と首を振る。だが、その目が少し不安げに揺れているのをルイは見逃さなかった。

「キャスケットが・・・えっと、ハートの船員が言うには、あいつも相当強いらしいから」

見た目の恐ろしさとは間逆の少しためらいがちな声にルイは無言で視線を向ける。
もとより性格だけをいえば素直で大人しい部類に入るジャックは、仲の良い友人の言葉を信じきっているのだろう。それが悪いこととは言わないが、ただのハッタリや脅しの類かもしれないという可能性を考えないのだろうか?と、ルイは内心苦笑した。
確かに目の前で戦いを繰り広げる二人のうち、白いツナギを纏った男は、一切無駄のない動きをしている。その戦い慣れた印象と、相手に確実にダメージを与える攻撃を繰り出す動きは、どこか機械的ですらある。
時折聞こえる二人の会話は気心の知れた相手に話すそれだというのに、いざ戦闘を続ければとたんに人間兵器へと印象が摩り替わってしまう。
そうなってしまったのは、生き抜くための手段だったのか、それとも敬愛する己の船長のためなのか・・・

「強いといっても、あいつらの尺度での話だ。たしかに強くはあるみたいだが・・・」
「?」
「戦う道具に成り下がるような男に、“武人”のキラーが負けるわけがない」





一方、キラーはペンギンに連続で様々な攻撃を繰り出しながら、戦っている己の心情の変化に気付き始めていた。
目の前にいるのは間違いなく己の愛する男だというのに、その身を切裂きたい思いがじわじわと膨れ上がってくる。皮膚を裂いて温かい内臓を引きずり出して、ゆっくりと冷たくなっていく体温を感じたい。苦痛に歪む表情を見てみたい。死に至る間際の瞳に己の姿を刻み付けてやりたい。

「・・・・・・・・・。」
「どうした?しゃべる余裕もないのか?」
「・・・安い挑発だな。似合わないぞペンギン」
「フン。楽しめといったのはお前だろう」
「違いない・・・」

自然と笑みが濃くなることもキラーは自覚している。
今日は仮面をつけていてよかった、と本気で思っていた。
仮面をつけた程度で、ペンギンが自分の心を読めなくなるとは思っていないけれど、それでも見せたくはなかった。自分の感情全てを曝け出せるほど、キラーはできた人間ではなかった。
そしてそれはペンギンも同様だ。
あまり単独での戦闘は行わないハートの海賊団において、このように一対一で戦う状況は久しぶりだった。鍛錬などで仲間を相手にすることはあっても、純粋な敵と対峙し、遠慮なく殺し合いができることを嬉しく感じている。ましてや相手は億越えの男。

『興奮するなというほうが無理な話だよ、なっ!』

鞭のようにしなるペンギンの蹴りが空を切裂き、数メートル離れたキラーのもとへ見えない刃を叩きつける。鎌鼬に似たそれを寸ででよけるキラーの髪が数センチあたり、はらりと小さな金が舞う。
“嵐脚”と呼ばれるその技は、ペンギンが最も得意とする技の一つだった。

伏せの体勢でよけたキラーは後ろに下がった足にぐっと力を込め、爆発的なスタートダッシュで一気に距離をつめる。そのスピードに一瞬目を見開いたペンギンのわき腹に向けて容赦なく刃をたたきつける。が、

「“剃”」

突然姿を消したペンギンにあたることはなかった。

『上かっ!』

剃という技は、たびたび起こる海軍との戦闘の中で見たことのある技だった。
瞬間的に数度足元を蹴ることで超加速をおこすそれに、何度も苦戦を強いられてきた。
真上に飛んだペンギンを見上げると、すでに攻撃の態勢に移り、全力で振りかぶった握り拳が振り下ろされる様がスローモーションのように見える。
咄嗟に身体を捻り、地面を転がるように攻撃を避ける。
キラーがいた場所の下、コンクリートタイルに向けてペンギンの右ストレートが放たれた。
ボゴォッッと派手な音を響かせながらタイルがいくつも捲り上げられ、その下の地面が深く抉れる。どうやら、先程放った指銃の攻撃力を指先から拳だいに大きくしたのだろう。その衝撃は決してハンパなものではない。

「くっ・・・!」

瞬時に体勢を立て直し、舞い上がる飛礫を手で払いながら、キラーはガラ開きになっているペンギンの頭へと回し蹴りを食らわせる。
しかし、それが入った感触はなく、トレードマークの帽子だけがぱさりと地面に落ちるのみ。
ここで攻撃の手を緩めればスキが出きるのは今度は自分だと判断したキラーは、一気に猛攻を仕掛ける。

「“紙絵”」

だが、その攻撃は全て寸前で避けられる。ひらひらと宙を舞う紙のようにペンギンは最小限の力のみでその攻撃を避け続けた。キラーは体力が削られる一方だ。





「ペンギンは本来、防御徹底主義なんだよ」

ペンギンを良く知る古株のカゲロウは、楽しげにそう口にする。

「敵の攻撃を避けて、受け流して、そうするうちに攻撃パターンを読んでいくタイプでね。一対一じゃ、なかなかやっかいで時間がかかるタイプなんだよねぇ」
「なんかえげつないよねー。それって相手の自爆狙いじゃん。深読みさせて暴走誘うってことっしょ?」

キャスケットがからからと笑いながらそう言った。
心底ペンギンが仲間でよかったと思っているのだろう。
ペンギンはキャスケットが一番苦手とするタイプだからだ。

「まぁでも今回は制限時間アリだから、ペンギンも攻撃してる回数多くしてるみたいだけどねぇ~でも、もうそろそろラスト一分に入るかな?」

決着つくといいねぇ。と暢気に笑うカゲロウの手元には、いつの間にか散弾銃が握られていた。それに気がついたバンは、「おいそこのバカ。」と視線を二人からそらすことなく、話しかけた。

「その物騒なシロモノは何だ?」
「ん?これー?ルール破りの罰ゲームだよ♪」
「別に二人とも殺しゃしねーだろ。仮にも恋人同士っつーやつなんだしよぉ」
「どうかな?どっちか死ぬかもよ?俺としちゃあ新しい手術台欲しいから殺戮武人が死んでほしいなぁ。・・・まぁでも、制限時間きても決着つかなかったら二人とも自動的に罰ゲームな訳だし、いいんじゃない??」
「おいペンギン!!残り一分だとよぉ!!死ぬ気で勝たねぇとマジで死ぬぞ!!」

笑顔でジャコンと弾を装填するカゲロウの隣で、バンは思いっきり二人に向かって叫んだが、仲間の声援や野次に消えたのは言うまでもない。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回最終・・・!ということでここは一つ小休止おば(笑)
ペンギンが押してきてますねー。ここでキラーが負けるとしたら彼氏の威厳台無しになっちゃうんで頑張ってください。キラーさん^^
戦闘モノはやはり書いていて楽しいです。でも文章で動きを説明するのって難しすぎてぐあーっ!ってなっちゃいます。
後日談エロ入れたいけどどうなんだろう・・・ウチのペンギンのことだからエロい展開になってくれないかもしれません。キラー頑張れ!ペンギンめっためたにしてやれ!!そして私にエロを書かせろ!
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文とか絵とかコスプレとか色々手を出していたりするダメ人間。いろんなことに迷走気味
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