どこにもたどりつかない。 戯れの決闘04 忍者ブログ
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決闘シリーズ最終。
自分の中のペンギンが予想外に強くて結局エロにはもちこめなかったよどちくしょう。






『あと残り、1分ってところか・・・』

攻撃を避けながら残り時間を計算していたペンギンは、隙を見て再び反撃を始めた。
地面に両手をつき、相手の顎めがけて足を振り上げる。突然顔面に向かってきたペンギンのつま先をキラーは避けた。だが、それも予測済みだったペンギンは攻撃を即座に回し蹴りへ切り替える。

「・・・なめるなっ!」
「っ!?」

キラーは勢いのついたペンギンの右足首を掴むと、そのままおもいきり振りかぶるように投げ飛ばした。ペンギンの体が勢い良く工場の鉄の扉へと叩きつけられる。その衝撃が身体を伝わる一瞬、意識が飛ぶ瞬間を見逃すまいとキラーは駆け出した。

「くっ・・・」

なんとか地に足をつけたペンギンだが、頭を打ったせいでぐらつく視界で足を踏み出せない。
やっと焦点が合うかと思われたその瞬間、何かの風圧を感じて首をかしげるようにそれをギリギリで避ける。だがキラーの刃は二つだ。すぐに第二撃がペンギンへと迫る。今度はそれをしゃがみ込むように避けて、見上げた先には分厚い鉄板に両拳がめり込んでいた。刃はおそらく貫通しているだろう。

「チッ」

くやしげな舌打ちが聞こえ、『コイツ本気で顔面狙ってきやがった。』とペンギンは冷や汗をかいた。ゆっくりと刃が引き抜かれていくのにあわせ、扉がキリキリと金切り声をあげる。
そういえば以前、こんな風に壁際に追い込まれてキスを迫られたことがあったな、なんてどうでもいいことを思い出す。その時は平手一発でキラーは引いてくれたが、今回はそうはいかないだろう。
逃げ道を作るためにキラーにフェイクの足払いをかけ、鳩尾めがけて掌を押し上げる。
が、そのどちらにも手ごたえはなく、見上げた先には垂直の壁を駆け上がる金色がいた。

「!」

直後にくるであろう、真上からの攻撃を避けるため、その場を離れようとペンギンは駆け出した。
だがキラーの真意はペンギンが考えているものと少し違った。
チリチリチリと火花をたてながらキラーの刃が鋼鉄の扉を切り裂いていたのだ。天辺まで走りぬき、扉の上の僅かな隙間に足をかけ、走って行くペンギンを見つめながら、キラーは足元の扉の出っ張った箇所を軽く蹴る。
すると自らの重さに耐えかねた扉がギギギ・・・と音をたてて倒れ始めた。
突然現れた己を覆うほどの大きな影にペンギンが後ろを振り向くと、分厚い鉄板が自分を押しつぶしにかかっていた。

『や、ば・・・っ!』

避ける暇はない。だが受け止めきれる重さでもない。切ろうにも相手は鉄だ。ペンギンの技にも限界がある。
死ぬ・・・!
そう感じた瞬間、空中で鉄は大きさがまばらな礫に変化していった。
降り注ぐ礫の雨はペンギンを容赦なく襲う。

「くそっ!」

なんとかそれを振り払っていくも、一撃ごとにダメージが伴う。やっと納まった、とガードをとくと、そこにはやはりキラーがいた。
わずかにできた隙に、キラーの手がペンギンの細い首をとらえる。

「・・・終わりだ。」





「終わりだな。」

そうぽつりと、ローが呟いた。
その言葉に眉をひそめたのは隣に座る、燃えるような赤毛の男だ。
見た目に反して負けず嫌いな男の諦めたような言葉がひっかかったのだ。
その様子が見ずともわかるのか、ローは肩をすくめて言葉を口にする。

「別に俺は、ペンギンに勝てとも負けろとも言ってねぇしな。勝敗にはハナっから興味はねぇよ」

そう言って、男に対しニヤリと笑みをこぼす。

「・・・キラーはただの当て馬、か?」
「そう不機嫌になるなよ。これ以上ない最ッ高の好敵手だよ。お前を含めて、な。」
「ふんっ」
「おかげでウチの奴等にはいい刺激になった。ありがとよ」

やっぱお前酔ってなかったんじゃねぇか。とグチをこぼす男の不機嫌そうな顔とは裏腹に、ローは実に楽しそうだった。





鉄くずが崩れ落ちていく音がやみ、砂塵がはれるころにはローの言うとおり、決着がついていた。
仰向けに首を押さえられ、地面へとその細い身体を押し倒されたペンギンと、息ができるギリギリまで首を絞め、鎌刃をつきつけるキラー。どちらが勝ったかなど明白だった。

「俺の勝ちだ。」
「・・・そうみたいだな。」

意外とあっさり返された言葉につい、キラーは「くやしくないのか?」といらぬことを聞いてしまう。

「おかげ様で。ハラワタが煮えくり返りそうだよ。」
「・・・そうか。」

そんなことを話している間に、試合終了の空砲が空に放たれる。
キッド海賊団の方から上がる歓声にキラーは立ち上がり、ペンギンに手を差し伸べる。
なんてことのないその手をとるのが悔しくて、ペンギンは軽くその手を払うと自力で立ち上がった。

「次は、おれが勝つ」
「だといいな。」
「・・・ムカつく。」

口をとがらせてそうもらしながら、ペンギンは足元に転がっていた帽子の埃をはらい、再び被りなおす。その影に隠れた瞳には、敗北に対するショックよりももっと熱いものに燃えていた。

「今にみてろ。」

そう言って仲間のもとへと歩いて行く恋人の背を見送ったキラーは、満足げに溜め息をついて反対側へと歩き出した。





「5分ぴったり。・・・ざぁんねん。ウチの負けだね」

散弾銃の代わりに手持ちの拳銃を上へ向けていたカゲロウがそうつぶやいた

「・・・チッ」
「・・・・・・・・・。」
「キャース?そんなにぶーたれないの。」
「だってさっ!・・・正攻方ならぜってーペンギンの方が・・・・・・」
「実際負けたんだから。言い訳はなしなし。」
「・・・悔しけりゃ、敵対した時に思い知らせてやれってこったな。」
「そういうこと♪」

頬をふくらませているキャスをつっつきながらカゲロウは笑う。
見物気分で見学していたバンも心なしか苦い顔をしながら、咥えていた煙草を足でもみ消した。

「皆。すまなかった。」

仲間の元へ帰ってきたペンギンは、全員の前でキッチリと頭を下げた。
仲間に対するペンギンの紳士な態度に、その場にいた全員が目を丸くする。
そして皆、にっと笑うと、次々とペンギンのもとに集まり始めた。

「本当だよもう!」
「もっと本気だせっての!」
「次負けたら罰ゲームで船内掃除な!」
「いや、船長に体バラバラにしてもらおうぜ!」
「そりゃあいい!一日生首の刑だ」

肘でこずいたり、ペンギンにヘッドロックをかけたり、頭に拳骨をぐりぐりと押し付けたりと、荒々しい仲間の出迎えにペンギンは苦笑する。
本当は受けたダメージと相俟って触られるだけでも相当痛いのだが、ペンギンはあえて何も言わず、仲間たちの行為を受け入れた。
痛みも優しさも、信頼も与えてくれるこの仲間が、ペンギンは何よりも好きなのだ。

「あぁ。次は・・・絶対負けない。」
 
どこか晴々とした表情で、ペンギンはそう仲間に言葉を返した。 










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
終わっとけ!
トキガネ十八番の強制終了です。すみません。土下座なら得意ですともえぇ。

ペンギンは入団初期の頃はかなり偏屈者で、ローの命令以外聞かない冷めた奴だったらいいなーなんて私的に思っているのですが、仲間が多くなって、戦う回数も増えてきて、だんだん自分がしていることに意義とか意地とか。
そんなものを感じ始めてるといいなー。そのあたり書いてみたいなーとか思って始めたシリーズなんですが・・・うん。見事に撃沈しましたね。
プロットなしの後先考えない書き方するとこうなりますよ。という最悪の例です。マネしちゃだめだぞ★(ウゼェ

追記)
本当は戦闘中にペンペンの服ビリビリにした上でぼっこぼこに負けさせて、キラーがなぐさめついでにツナギプレイしちゃう予定だったのに(゚Д゚)あるぇー?
やだもうこのシリーズぐだぐだすぎる。ある日突然消えたらごめんなさい

 
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