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ペンキャス小話。
片手間のゲームでもペンギンは容赦なさそう(笑)


 


「うううう……」

船の談話室で一人、キャスケットはうなっていた。
見つめるのはテーブルの上に広がるチェスボード。
どうしようも無いくらいに状態の崩れてしまった自分の駒たちだった。
そのキャスケットの対面には、ボードには目もくれず航海日誌を書き進めているペンギンがいた。初めのうちはキャスケットと同じペースで駒を進めていたが、キャスケットの手が止まってからは仕事の片手間に相手をしても勝負は差し支えないものになっていた。

「よし!ここだ…!」
「チェック。」
「あ……」

キャスケットが意を決して駒を進めるが、ペンギンがあっさりと王手をかけてしまい、勝敗は決してしまった。もう動かせる駒もなければ王に手をかける駒を止めることもできない惨敗状態だ。

「終わりだな。」
「も、もっかい!ペンギンもっかい!!」
「124戦中0勝124敗なのにか?」

書き終わった日誌を閉じ、しれっとキャスケットの戦跡を言うペンギンに、キャスケットはうなだれる。ペンギンとてそうそう暇ではないのだろう。自分より仕事も多い立場だ。
これ以上引き止めるのは無理だと判断したのか、キャスケットは黙って駒を片付け始めた。

「なにがダメなのかなぁ?俺そんなに弱い?」
「いや。言うほど絶望的でもないだろ。他のクルーに勝ってるんだったら上出来だ。」

ペンギンは頬杖をつきながら、しょぼくれるキャスケットを見てクスリと笑った。

「ただ、おまえより俺の方が強いだけだ。」
「…それ何の解決にもなってなくない?」
「ま、弱点なら色々あるが…お前の場合、犠牲駒を作るのを嫌うクセがあるな」

ペンギンは机に転がっているポーンを手に取り、盤上に立たせる。

「邪魔な駒があるなら、相手にさっさと取らせろ。時間の無駄だ。」
「う~ん…でもなんっかできないんだよなぁ。まだ使えるんじゃないかって思うと…」
「貧乏性。」
「うるせぇ。」

ペンギンが立たせた駒をキャスケットは持ち上げた。

「チェスに似たやつでさ、“ショーギ”ってあんじゃん?あれって相手から取った駒は自分の駒にできるんだって。」
「らしいな。やったことはないが…死んだならそのまま死んでおけばいいだろうに」
「相変わらず酷いなぁ」
「敵側につく前に殺せるゲームとかないか?」
「ないっしょそんなの。」

あははと笑いながらキャスケットは最後の一つをケースに収めてフタを閉じた。

「ま、どんなゲームでも王様殺せればいいんだから。みんな同じだって」 





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ハートをチェスで当てはめれば、キングはローでナイトがペンギン、キャスはルークっぽい。(カゲロウはビショップかな?)
ベポは…クイーン?(笑) 
 
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