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ペンキャス小話。キドロ←ペン←キャス気味。微妙に続きもの。
暴力表現アリなので苦手な方はスルーで!
「ちょっと出かけてくる」
そう言って船長が一人で船を出ていったのは船が目的の島についた翌日のことだった。
船の番をする傍ら甲板でベポと組み手をしていた俺は、護衛に付いていこうか船長に問いかけたけど、「いらねぇ」とキッパリ断られてしまった。
しかしその声は不機嫌なそれではなく、どこか楽しげに聞こえる。
そこで今朝、町に出た船員の話を思い出す。
『あぁ、そういえばあの海賊もこの島に・・・』
脳裏にチラつく赤髪の男に、俺は溜め息をついた。
船長はあの男をいたく気に入っているみたいで、近くにいると聞けばそのたびに一人でふらりと出かける。仮にも敵船に船長一人で行かせるのもどうかとペンギンに言ったことがあるけど、「好きにさせてやれ」と無表情で返されてしまった。
「フラれちゃったね」
そう言ってニシシと笑うベポにひと蹴り入れると、組み手はただの喧嘩にエスカレートしてしまった。淀みなくベポの攻撃を避け、反撃を続ける。それでも頭の中はずっとぼんやりしていて、晴天続きの青空を見ながら「あぁ今夜は荒れそうだ」と、心の中でつぶやいた。
「俺は鍛錬を怠るなとは言ったが、船を壊せと言った覚えはない。」
その日の夜。俺はペンギンの部屋に呼ばれた。
昼間の喧嘩で甲板の一部に穴を開けてしまったからだ。大抵はベポの攻撃を俺が避けた際に出来たものだけど、ベポは今夜、見張り台に上っているため俺がしかられる羽目になってしまった。
「ご、ごめん・・・」
「これで何度目だ?言ってみろ」
机の上にある物資のリストから視線をはずし、ペンギンは俺に冷たい視線を向けた。
「えっと・・・10回目、ぐらい?」
「14回目だ。」
珍しくイライラとした声のペンギンに「そうだっけ?」と首をかしげると、ペンギンの額に青筋が浮かんだのが見えた。いつも被っている帽子は私室にいるせいか、壁にかけられているため、表情の変化がよく見える。特にペンギンは普段から口調や表情に変化がないから、その変わりようを見るのは正直言って楽しい。
でもここで笑えばペンギンの逆鱗にふれることはわかっているから、俺は口元をきゅっとひきしめて、改めて「ごめんなさい」と綺麗に両腕を体の横につけて頭を下げた。
でも、あぁ・・・
楽しいなぁ
「何を笑っている」
頭を下げてる俺の表情は、椅子に座ったペンギンから見えていないはずだ。
「笑ってないよ」
「声がふるえている」
カツカツと、ペンギンの近づく気配といっしょに靴の音が聞こえてきた。
俺はまだ頭を下げている。
サングラス越しの薄暗い視界の先にペンギンの靴が見えた次の瞬間、前から伸ばされたペンギンの手に襟首をつかまれ、強制的に上向かされた。
「ならその顔はなんだ?」
そう言いながら、もう片方の手で顎を固定される。
「さぁ?・・・どんな顔してる?」
どこまでもとぼけた風を装って言えば頬を叩かれた。
拳ではなく掌だったからか、そんなに痛くはなかった。
サングラスが衝撃で吹っ飛んでしまったけれど、今は夜だ。外したところで問題はないが、部屋を照らす明かりが少し目に痛かった。
「・・・・・・・・・。」
ペンギンは何も言わない。
明かりがペンギンの後に見えるせいか、ペンギンの表情は暗い影を帯びている。
サングラスを無くした目が視界の明るさに慣れはじめると、ペンギンのギラギラとした目に映る、自分の笑った顔が見えた。
自分で言うのもなんだけど、下品な笑みだ。
まるで人を小ばかにしてるようにしか見えないくらいに、醜悪に歪んでいる。
「機嫌、悪いね・・・どうかした?」
「・・・・・・・・・。」
「あぁ。船長のことなら心配いらないんじゃない?簡単に殺されるような人じゃないし」
「・・・・・・・・・。」
「向こうの船長とも仲良くやって・・・」
バキッッ
いるんじゃないかな、と、言いかけた言葉は、今度こそ容赦なく飛んできた拳に消えた。
床に吹っ飛んだ俺の上に、覆いかぶさるようにペンギンが迫る。
これ以上殴られるのも嫌だな、と思った俺はさてどうしたもんだかと溜め息をついた。
「暴力反対、っつーか・・・八つ当たり反対。」
「・・・先に当たってきたのはお前だろ」
「何のことやらサッパリ。」
マウントポジションをとったにも関らず、ペンギンは作った拳を振り下ろそうとはしなかった。
・・・本当に、身内には甘い人だ。
「引き止めればいいのに。」
俺に対しても。船長に対しても。
「敵に惚れてもいいことなんて一つもないって言えばいいのに。」
行くな、の一言すら言えないペンギンと、付いて行くのも諦めた俺は、
「“俺にしておけ”って、言ってやればいいのに。」
たぶん、似たもの同士なんだろうな。
淡々と喋る俺の言葉に、ペンギンの力がゆっくりと緩まっていくのがわかった。
そして、長い長い沈黙の後、ペンギンは言った。
「言わない。」
それは、決意だった。
「俺は絶対に、船長に・・・ローには言わない。」
この船の誰よりも強い絆と、忠義心を持ってしまった男の決意だった。
「俺はローのものだ。」
声に淀みは一切ない。だが、その目は、その顔は、その手は、体は、
「だが、ローは・・・俺のものにはならない。」
まるで叫び声でも上げるように震えていた。
「・・・バカな奴。」
自然と俺の手はペンギンの頬に触れていた。ペンギンは何も言わない。
かさかさとした肌には涙すら流れていなかった。
するりとペンギンの下をすりぬけ上半身を起こしてもまだ、ペンギンはうつむいたままだった。
「俺もバカだけどさ、ペンギンも大概だよな。」
俺より大きな体躯のペンギンの首にそっと腕をまわし、肩に額をくっつけた。
ペンギンの鼓動が、ペンギンに触れた箇所から伝わった。
流れる血の音も。声なき叫びも。その中に渦巻く感情の波の音も。
それに静かに聞き入っていると、耳元で微かにペンギンの声が聞こえた。何を呟いたのか聞こうとしたけれど、体が再び床に引き倒されて思考を中断させられてしまった。
「ペンギ・・・ん・・・・・・っ、」
噛みつくようなキスで唇を塞がれ、口内を貪られれば、もはや抵抗の余地もなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後半へ続く(笑)
ローがキドロに走った場合、ペンキャスになっちゃうね、ってだけの話。
可愛いキャスも好きだけど、したたかなキャスも大好きです^q^
ペンキャスエロとか需要あるんだろうか・・・?ないんだろうな。私は好きだけど!←
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文とか絵とかコスプレとか色々手を出していたりするダメ人間。いろんなことに迷走気味
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