どこにもたどりつかない。 暖かい午後の話 忍者ブログ
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2月12日『キラペンうまうまです』の方へ

で す よ ね ! (笑)
大好きな二人ですが、どう絡ませたらいいものか迷いながら一本書いてみました。めちゃめちゃ短いです。^^;
トキガネのヤル気の半分は、皆さんの優しさでできていますwwwコメントありがとうございました!
(当サイトのキラー設定は[キャラ設定]にあります。)


 


「この船には本が多いな」

そうぽつりと呟いたのは、ハートの海賊団の船にやってきた二人の海賊のうち、奇妙な仮面で顔を覆った男だった。
船長同士がいつの間にか仲良くなり(当の本人達は否定するが)互いの船を行き来しはじめるようになって数日。いつものように赤髪の男は部下の一人を連れてやってきた。
護衛など必要ないだろうが、そこは部下である男の義務だ。今日も「ついて来るな」と船長命令を受けながらついて来たらしい。
それは談話室で一人航海日誌を認めるペンギンも同じことだった。立場が同じ者同士、どこか通じ合うものがあった二人は馴れ合う、とまではいかずとも、それなりに会話を楽しむ仲ではあった。

「ほとんどは船長の私物だがな。新しい島に着いては本を買い込んでくる」

談話室の壁一面にある巨大な本棚には多種多様な本がずらりと並んでいるのを眺めていた仮面の男はその中の一冊を手に取るも、パラパラとページをめくっただけですぐ元に戻してしまった。
日誌にペンを走らせるペンギンは、男がその行動を何度か繰り返す気配を感じながら、文字を書き進めていた。

「・・・医学書ばかりだな」
「そうでもない。クルーが買ってくるものもあるからな。図鑑や伝奇小説や犯罪者の最新リストや・・・まぁ色々ある。」

こっちの本棚だ、とペンギンは顔を上げて男が立っている場所と反対側の本棚を指差す。
それは丁度ペンギンの真後ろにある本棚だった。
男は手にとっていた本を戻し、ペンギンの指した本棚へと足を向ける。
先程より興味が惹かれる内容の本があるのか、様々な本を試し読みしているようだ。

「これは・・・」
「?」

男のページを捲る手が止まった気配を感じ、ペンギンはソファの後ろを振り返った。

「絵本・・・?」

男が手にしているのは北の海でも有名なノーランドの冒険物語だった。

「あぁ、それは・・・少し前の島で見つけたやつだ。」
「ノーランド・・・黄金郷・・・?」
「ベポが珍しく欲しがってな。」

みんなの故郷のこと知りたいから、とだだをこねて本屋の前から動かなかったため、仕方なく買ってやったんだと男に話すと、男もそれに興味をもったのか、ソファの背に座り、絵本をぺらぺらと捲り始めた。
ペンギンはその様子を座った体勢のまま見上げる。

「・・・・・・・・・。」

悪逆非道と噂されるキッド海賊団の中でも船長の右腕と称される男が、静かに絵本を読んでいるというこの現状を見るとなかなかシュールな光景だ。
しかし仮面で阻まれて見えないその表情の変化は案外容易く見て取れるものだとペンギンは溜め息をついた。
初めてこの絵本を読み聞かせた時も、ベポは黄金郷の幻に目を輝かせて、『黄金が手に入ったらキャプテンにあげるんだ!』と数日は物見台に上がったままだったことを思いだす。
その時のベポと、この男がなんとなく重なるのだ。

「面白いか?」
「あぁ。」

やけにきっぱりと答えられてしまい、ペンギンは思わず苦笑した。
それを不審に思ったのか、男は本から視線をはずして首をかしげる。
視界の端に揺れる男の長い髪に触れたい衝動を抑えながら、ペンギンは「なんでもない。」と帽子を深く被りなおした。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ハートの海賊団は皆本好きだといいな^^
ローは医学書関連、ペンギンは航海術と料理本、キャスは図鑑や画集、カゲロウは色々な専門書、ベポが絵本や子供向け小説。あと誰かがこっそり買って来たエロ本は本棚の裏にありますwww
 
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