どこにもたどりつかない。 残される愛情 忍者ブログ
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友人に「お前んとこのもじゃもじゃ(カゲロウのことです笑)は変態臭くて好きだ」と、褒めてるのか貶してるのか分からないお言葉をいただきましたwww
へ、変態で何が悪いっ!!
ってなわけで、短いですがカゲキャス小話。いってみよー
今回もキスまで。寸止め多くてごめんなさい。


 


アイツについて俺が知ってること。
肌が白いこと。
料理がうまいこと。
この船の何種類もある薬や毒を作ってること。
逃げ足が速いこと。情報を仕入れるのが早いこと。頭がいいこと。
戦い嫌いなこと。でも拷問は好きなこと。

でも、たぶんこれは、“知っている”とはいわない。

「キャ~ス。どうしたの?」

見慣れた船の医務室の天井をぼぉっと見上げていると、視界にカゲロウの顔がぬっと入ってきた。「べつに」と答えてやれば「そ?」と首をかしげてベットから離れて行く。離れた位置にある薬品棚を開ける音が聞こえた。
一旦暗くなった視界がまた明るくなる。室内を照らすランプの光が目に痛くて目を閉じれば、目尻に溜まっていた液体がこぼれていった。点したばかりの目薬だ。
散々暴れて嫌がっても、いつも最後は俺が負ける。
カゲロウが弱いなんてきっと嘘だ。戦闘員の俺より力が強い非戦闘員がいてたまるか。
いつもそう思うけど、それを言うたびにカゲロウは「戦いには向いてないから」と笑う。
嘘つきの笑みで。

「せっかく点したのに」と、いつの間にか傍にもどってきたカゲロウの手が俺の顔に触れた。目を閉じているせいでカゲロウの顔は見えない。
細く骨ばった指が目尻に触れた。涙を拭うように指を沿わされたのが少しくすぐったくて顔をそらすと「猫みたいだ」と笑われた。
子ども扱いされたような気がして瞼を上げて抗議の視線を向ければ、やっぱり笑いながら「ごめんごめん」と謝ってきた。どうも釈然としない謝罪に寝返りをうって顔を壁の方に向けると、ベットがギシッと軋んだ。カゲロウがベットに座ったからだろう。背中からじんわりと体温を感じた。
今度はどんな言葉がふってくるのかと待ち受けていると、カゲロウの指が俺の頭に触れるのを感じた。撫でる、というより寝返りをうって乱れた髪をすいているような・・・

「なんだか今日は大人しいね。」

張り合いが無い、と言外に語るカゲロウの声はいつもと同じ落ち着いた声だった。
・・・俺だっていつもやかましい訳じゃないだろ。と文句を言ってやりたかったけれど、何故か口からは別の言葉が出た。

「カゲロウは、どうしてこの船にいるんだ?」
「・・・・・・・・・。」

カゲロウの手が止まった。
何故そんなことを?と問われれば、なんでもない、忘れてくれ、と撤回することもできたけれど、カゲロウは何か考え込むように押し黙っている。

この船には船長のローを筆頭に、医学知識に特化した人間が多い。
ペンギンもある程度の知識を有しているし、他のクルーも一通りの知識は持っているらしい。(ちなみに俺はまったく知らない。)船医なんてものがなくたって成り立つ海賊なんて世界中探してもこの船だけだろう。
なのに、人の命を救うことになんの感慨も抱かないカゲロウが船医なんてポジションについているのは何故なのか。

「そうだねぇ・・・」

カゲロウの手が俺の額に触れる。最近切ってなかった前髪が睫毛に重なった。

「俺は、ペンギンやキャスやベポ、他の船員のようにローが好きで好きでたまらないって訳じゃない。協力はするけど守ろうとは思わない。」
「・・・なんで?」
「そういう約束だからだよ。命を賭けた約束。」

カゲロウは時々、船長のことを名前で呼ぶ。親しげにするそれを羨ましいとは思ったことはないけど、不思議に感じていた。プライドの高い船長が他人から自分を同格に見られるのはあまり好きじゃないことは知っていたし、船長をバカにした連中は船長が手を下すまでもなく、俺達が斬り捨てている。
なのに、カゲロウはそれを許されていた。

「どんな約束?」

先を促す俺にカゲロウは一拍置いて答えた。


「ローの死に目を見ること。」


一瞬、カゲロウが何を言ってるのかわからなかった。

「“死の外科医”なんて言われてる男の死に様を見届けるのが俺の役目。ワンピースを手にした後か、それとも志半ばで倒れるのか知らないけど・・・ともかく、俺はローより先に死ぬ訳にはいかないんだ。」

カゲロウの吐き出す言葉を、呼吸も忘れて聞いた。

「誰かは泣くかもしれない。誰かは後を追うかもしれない。誰かは狂ってしまうかもしれない。誰かは死の要因を作ったものに復讐するかもしれない。」

ただ淡々と語られる言葉は全て、冷たい音となって部屋の中に霧散していく。

「けど俺一人くらいはさ、泣かずに死なずに狂わずに、ただローの死を受け入れてやりたいんだよ」

そう言ったカゲロウは、たぶん笑っていた。
俺は考えたくもない船長の死に様が頭に浮かんでしまって、振り払うように首をふってベットに仰向けになると、「やっとこっち向いた」とカゲロウはやけに嬉しそうに笑っていた。

「だから戦わないって卑怯じゃない?」
「そうかもね。でも事実、守ろうと一度でも思ったら身代わりに死ぬ事くらいはしちゃうと思うからさ。・・・キャスみたいに」
「俺は死なない。」
「なら、ローは幸せだろうね。」

いつもの笑みに少しだけ影がさしたように見えたのは、たぶん気のせいじゃない。
・・・この船で船長を好きじゃない奴なんて、いるはずがないから。

「で?キャスはこれが聞きたかったの?」
「ん・・・たぶん」
「どしたの?キャスがそんなこと聞くなんて珍しいね」
「別に。なんでもない。」

なにかあった?と聞かれる前に先手をうつと、カゲロウも深入りして聞こうとはしてこなかった。その代わりに、優しいキスが唇に降りてきた。

「抵抗しないの?」

いつの間にか組み敷かれていたことに、今更驚きは感じなかった。

「・・・さっき暴れたし。疲れた。」
「ならこのまま続きしちゃってもいい?」
「いーよ。明日は午後から見張りだし。」
「・・・ホント、珍しいね。キャスが大人しいの」
「嫌なら今すぐ暴れて出て行くけど?」
「冗談。存分に楽しませてもらいます。」

再び降ってきたキスに、俺は目閉じて静かにカゲロウの首に腕をまわして引き寄せた。
『まるですがりついてるみたいだ。』と思ったのは、俺自身に対してか、それとも・・・





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カゲロウ好きの友人に捧ぐ(笑)
需要があればエロも書こうかな?と思ってますが、多分ないね!www

キャスケットは基本的にいい子です。誰にでも優しく素直になれる子。でもそういう子供っぽい子に限って、頭の中では結構深いこと考えているのかもしれません。
カゲロウはただの格好つけてる男です。ローが好きなのを気付いてないフリしてたり、キャスが逃げる気分じゃないのをわかってて誘ったりするズルイ大人です。
 
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