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キラペン小話。今回はキスまで。
たぶん続くかも?
「アイツどんな顔してんだろ?」
夜中。談話室のソファにいたキャスケットは呟いた。
それを耳にしたカゲロウは辿っていた文字から視線を外して「誰のこと?」と隣に寝そべるキャスケットに問いかける。
「ほら。今日の昼間も来てたじゃん」
「あぁ、殺戮武人ね」
正面のソファに腰掛け、我関せずと本を読み進めていたペンギンのページを捲る手が止まる。
「あそこの一味は、なかなか奇抜な格好の連中が多いからねぇ。ま、意外と普通なんじゃない?」
「それかめっちゃくちゃ人相悪いとか!」
「ベポはどう思う?」
カゲロウは、床にべたりと寝転んで本の挿絵を眺めているベポに問いかける。
するとべぽも興味があるのか、「キャスケットみたいなマヌケ顔じゃない?」とにやにやと冗談めかして笑った。「マヌケ顔ゆーな!」と反論するキャスケットも、「まぁまぁ」と二人が喧嘩にならないよう間をとるカゲロウも、キラーの仮面の下についてあーでもないこーでもないと面白おかしく会話を続けている。
二人に視線を向けずに本に目を向けるペンギンだったが、頭には一向に内容が入ってこない。すると、ペンギンの隣からローの静かな笑い声が聞こえた。
「そういやペンギン。お前は見たことあるか?」
ペンギンにだけ聞こえる声でそう問われ、目深に被った帽子の影からローへと視線を向けた。悪戯を思いついた子供みたいに笑うローに呆れて溜め息が出そうになったが「ない。」とペンギンは問われたことを正直に答えた。
「そうかそうか。」とローは笑みを濃くする。
この時ペンギンが感じた嫌な予感は、翌日に的中することになってしまった。
「顔・・・?」
「あぁ・・・」
キッドの船へ向かうと言い出したローについて来たペンギンは、船の中にあるキラーの部屋で項垂れていた。
『どんな顔をしていたか後で報告な。』と笑って船長室に消えていったローに恨み言の一つでも言いたくなったが、日頃の忠誠心のせいか、口には出せなかった。
「見たかったのか?」
俺用にコーヒーを用意してくれたキラーが、笑いながらカップを差し出した。
「ありがとう・・・いや、俺は別にいいんだが船長がだな・・・」
「どこの船でも船長に振り回されるのは一緒か」
笑いながらキラーはもう一つのカップにコーヒーを注ぐ。
一瞬、キラーが何かを考え込むように押し黙った後、テーブルで突っ伏するペンギンの肩に触れた。
「・・・見たい、か?」
いつもと同じはずの声色に混じるのは脅えか恐れか。
肩に触れる男を見上げてもあるのは冷たい鉄の仮面だけだ。
「お前が本当に見たいなら、見せてもいい」
「・・・いいのか?」
「いい。別にこの仮面にこだわっているわけでもないしな。・・・ただ、船員意外には見せたことがない。ましてや敵になるかもしれない海賊相手に。・・・でもお前なら、いい。」
「それは・・・光栄なことだな。」
他人よりも幾分か心を開いてくれているその言葉に照れたのか、ペンギンは帽子のつばに触れ、表情を隠した。不覚にも緩んでしまった口元を隠そうとしての行為だったが、それに気付いているのかいないのか、キラーは「ただし、お前も帽子を取ってくれよ」とペンギンの耳元で囁いた。
突然近づいた二人の距離にか、その交換条件にか、驚いてつい身を引いてしまったペンギンの座っていた椅子がギギッと床とすれる音がした。
「わかった。わかったから離れろ。」
腕を伸ばして引き剥がしながらキラーに言えば、キラーは片手に持っていたカップをテーブルに置き、ペンギンの丁度対面にあった椅子を、ペンギンの隣へと引っ張ってきた。
「先に仮面を取ってくれ。」
「・・・帽子は?」
「いいから!」
顔の熱が上がっているのを感じたペンギンは、片耳の熱を冷やすように手で抑えながら声を荒げた。
「・・・わかった。」
声に笑みが含まれているのが少し悔しかったが、仮面を外しにかかるキラーを見るうちにそれはどうでもよくなってしまった。
後頭部に手を回し、固定具を外していくその時間が異様に長く感じる。
そしてキラーの仮面が完全に外れ、テーブルにゴトリと置かれた。
「外したぞ。」
そう言ったキラーの素顔には顔半分を覆うほど長い前髪が垂れているため、鼻先から下の口元しか見えなかった。
「・・・ほとんど見えてないんだが。」
「見たければ前髪を上げてくれてもいい。」
「・・・・・・・・・。」
ペンギンはその言葉に少し戸惑ったが、意を決してキラーの前髪に触れた。
何度も触れたいと思っていた金糸の髪は、想像していたものより触り心地が良かった。
さらさらとしたそれをそっと押し上げるように上へ持って行けば、顔の半分を覆うほど大きな痣が見えた。すっきりとした鼻筋と髪と同じ色の眉毛と細い睫毛。そしてくすぐったそうに細める両目は顔を覆っていた仮面の色を思わせる青い色をしていた。
「・・・どうした?」
「あ、すまん・・・」
首をかしげたキラーに問われ、何も言えずにぽかんとしている自分に気付いたペンギンは、ぱっと手を離した。
「じゃあ次は・・・お前の番だな。」
「!」
ぱっと帽子のつばを掴まれ、あっと言う間もなく帽子を取られてしまった。
黒く短い髪と、驚きで見開かれた黒曜石のような目がキラーの前に晒される。
「綺麗な髪だ。」
「・・・嘘をつけ。」
「本当のことだ。」
キラーの手がペンギンの頭に触れようとしたが、それはペンギンの手によってやんわりと拒否されてしまった。
「俺のはよくある黒髪だし・・・髪のことを言うなら、お前の髪のほうがよっぽど綺麗だ」
「・・・そうか。」
キラーの口元が弧を描くのを見たペンギンは、キラーの手をはらっていた手がピタリと止まってしまった。同時に、自分はとんでもなく恥ずかしいことを言ったのではないかと思い始めると、顔に再び熱が集まるのを感じた。
「意外と赤面症なんだな」
「っ、見るな・・・早く返せ」
「嫌だ。」
珍しくペンギンの言葉を拒否したキラーは自分の仮面の隣にペンギンの帽子を置くと、改めてペンギンと向き合った。
熱くなった頬を冷やそうと片手の甲を押し付けている様が可愛い。
「・・・可愛いな。」
「それは男に対して言っていい言葉じゃないように思うが・・・」
「それ以外に上手い言葉が浮かばない。」
「もっと色々あるだろ!」
「じゃあ俺の顔を見た感想は?」
「・・・・・・・・・。」
言いたくないと言わんばかりに逸らされた顔は、決して嫌そうなものではなかった。
それに安堵したかのように、キラーは静かに笑うと、席を立った。
どうかしたか?と見上げたペンギンの顔を両手でゆっくり包み込み、顔を近づける。
鼻先が触れそうなほど近くに寄れば、ペンギンの目にも金髪の前髪の先にある青い目が見えた。
「綺麗だ。ペンギン。」
驚きに見開かれた瞳に、己の獣のような目が見え、キラーは笑った。
今この瞬間だけは、自分だけを見つめてくれている。自分のことだけを考えてくれている。
それだけで何故か満たされた気持ちになった。
無意識にキラーを引き剥がそうと伸ばされたペンギンの両手は、既に力を無くしてしまっている。何か言おうとしているのか、開いては閉じをくりかえしている薄い唇に、己のそれを押し当てた。
子供だましもいいところな小さなキスだったが、ペンギンは今度こそ渾身の力を手にこめてキラーを突き飛ばした。
反動でペンギンは椅子から転げ落ち、床に尻餅をつく。
だがその痛みもペンギンの混乱した頭には伝わってこないようだった。
「な、んでっ・・・え・・・?」
「なんでって・・・」
壁まで後ずさっていくペンギンに近づいたキラーは床に跪くと、ペンギンの手をとった。
「好きだからキスした。・・・それだけだ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
たぶんキラーさんは早く次の段階にもっていきたいと考えてます(笑)
ペンギンさんを受けにすると途端に乙女になってしまうのは何故だろう・・・?もっと男らしい受けを書きたいです。精進しなくては。
「ほら。今日の昼間も来てたじゃん」
「あぁ、殺戮武人ね」
正面のソファに腰掛け、我関せずと本を読み進めていたペンギンのページを捲る手が止まる。
「あそこの一味は、なかなか奇抜な格好の連中が多いからねぇ。ま、意外と普通なんじゃない?」
「それかめっちゃくちゃ人相悪いとか!」
「ベポはどう思う?」
カゲロウは、床にべたりと寝転んで本の挿絵を眺めているベポに問いかける。
するとべぽも興味があるのか、「キャスケットみたいなマヌケ顔じゃない?」とにやにやと冗談めかして笑った。「マヌケ顔ゆーな!」と反論するキャスケットも、「まぁまぁ」と二人が喧嘩にならないよう間をとるカゲロウも、キラーの仮面の下についてあーでもないこーでもないと面白おかしく会話を続けている。
二人に視線を向けずに本に目を向けるペンギンだったが、頭には一向に内容が入ってこない。すると、ペンギンの隣からローの静かな笑い声が聞こえた。
「そういやペンギン。お前は見たことあるか?」
ペンギンにだけ聞こえる声でそう問われ、目深に被った帽子の影からローへと視線を向けた。悪戯を思いついた子供みたいに笑うローに呆れて溜め息が出そうになったが「ない。」とペンギンは問われたことを正直に答えた。
「そうかそうか。」とローは笑みを濃くする。
この時ペンギンが感じた嫌な予感は、翌日に的中することになってしまった。
「顔・・・?」
「あぁ・・・」
キッドの船へ向かうと言い出したローについて来たペンギンは、船の中にあるキラーの部屋で項垂れていた。
『どんな顔をしていたか後で報告な。』と笑って船長室に消えていったローに恨み言の一つでも言いたくなったが、日頃の忠誠心のせいか、口には出せなかった。
「見たかったのか?」
俺用にコーヒーを用意してくれたキラーが、笑いながらカップを差し出した。
「ありがとう・・・いや、俺は別にいいんだが船長がだな・・・」
「どこの船でも船長に振り回されるのは一緒か」
笑いながらキラーはもう一つのカップにコーヒーを注ぐ。
一瞬、キラーが何かを考え込むように押し黙った後、テーブルで突っ伏するペンギンの肩に触れた。
「・・・見たい、か?」
いつもと同じはずの声色に混じるのは脅えか恐れか。
肩に触れる男を見上げてもあるのは冷たい鉄の仮面だけだ。
「お前が本当に見たいなら、見せてもいい」
「・・・いいのか?」
「いい。別にこの仮面にこだわっているわけでもないしな。・・・ただ、船員意外には見せたことがない。ましてや敵になるかもしれない海賊相手に。・・・でもお前なら、いい。」
「それは・・・光栄なことだな。」
他人よりも幾分か心を開いてくれているその言葉に照れたのか、ペンギンは帽子のつばに触れ、表情を隠した。不覚にも緩んでしまった口元を隠そうとしての行為だったが、それに気付いているのかいないのか、キラーは「ただし、お前も帽子を取ってくれよ」とペンギンの耳元で囁いた。
突然近づいた二人の距離にか、その交換条件にか、驚いてつい身を引いてしまったペンギンの座っていた椅子がギギッと床とすれる音がした。
「わかった。わかったから離れろ。」
腕を伸ばして引き剥がしながらキラーに言えば、キラーは片手に持っていたカップをテーブルに置き、ペンギンの丁度対面にあった椅子を、ペンギンの隣へと引っ張ってきた。
「先に仮面を取ってくれ。」
「・・・帽子は?」
「いいから!」
顔の熱が上がっているのを感じたペンギンは、片耳の熱を冷やすように手で抑えながら声を荒げた。
「・・・わかった。」
声に笑みが含まれているのが少し悔しかったが、仮面を外しにかかるキラーを見るうちにそれはどうでもよくなってしまった。
後頭部に手を回し、固定具を外していくその時間が異様に長く感じる。
そしてキラーの仮面が完全に外れ、テーブルにゴトリと置かれた。
「外したぞ。」
そう言ったキラーの素顔には顔半分を覆うほど長い前髪が垂れているため、鼻先から下の口元しか見えなかった。
「・・・ほとんど見えてないんだが。」
「見たければ前髪を上げてくれてもいい。」
「・・・・・・・・・。」
ペンギンはその言葉に少し戸惑ったが、意を決してキラーの前髪に触れた。
何度も触れたいと思っていた金糸の髪は、想像していたものより触り心地が良かった。
さらさらとしたそれをそっと押し上げるように上へ持って行けば、顔の半分を覆うほど大きな痣が見えた。すっきりとした鼻筋と髪と同じ色の眉毛と細い睫毛。そしてくすぐったそうに細める両目は顔を覆っていた仮面の色を思わせる青い色をしていた。
「・・・どうした?」
「あ、すまん・・・」
首をかしげたキラーに問われ、何も言えずにぽかんとしている自分に気付いたペンギンは、ぱっと手を離した。
「じゃあ次は・・・お前の番だな。」
「!」
ぱっと帽子のつばを掴まれ、あっと言う間もなく帽子を取られてしまった。
黒く短い髪と、驚きで見開かれた黒曜石のような目がキラーの前に晒される。
「綺麗な髪だ。」
「・・・嘘をつけ。」
「本当のことだ。」
キラーの手がペンギンの頭に触れようとしたが、それはペンギンの手によってやんわりと拒否されてしまった。
「俺のはよくある黒髪だし・・・髪のことを言うなら、お前の髪のほうがよっぽど綺麗だ」
「・・・そうか。」
キラーの口元が弧を描くのを見たペンギンは、キラーの手をはらっていた手がピタリと止まってしまった。同時に、自分はとんでもなく恥ずかしいことを言ったのではないかと思い始めると、顔に再び熱が集まるのを感じた。
「意外と赤面症なんだな」
「っ、見るな・・・早く返せ」
「嫌だ。」
珍しくペンギンの言葉を拒否したキラーは自分の仮面の隣にペンギンの帽子を置くと、改めてペンギンと向き合った。
熱くなった頬を冷やそうと片手の甲を押し付けている様が可愛い。
「・・・可愛いな。」
「それは男に対して言っていい言葉じゃないように思うが・・・」
「それ以外に上手い言葉が浮かばない。」
「もっと色々あるだろ!」
「じゃあ俺の顔を見た感想は?」
「・・・・・・・・・。」
言いたくないと言わんばかりに逸らされた顔は、決して嫌そうなものではなかった。
それに安堵したかのように、キラーは静かに笑うと、席を立った。
どうかしたか?と見上げたペンギンの顔を両手でゆっくり包み込み、顔を近づける。
鼻先が触れそうなほど近くに寄れば、ペンギンの目にも金髪の前髪の先にある青い目が見えた。
「綺麗だ。ペンギン。」
驚きに見開かれた瞳に、己の獣のような目が見え、キラーは笑った。
今この瞬間だけは、自分だけを見つめてくれている。自分のことだけを考えてくれている。
それだけで何故か満たされた気持ちになった。
無意識にキラーを引き剥がそうと伸ばされたペンギンの両手は、既に力を無くしてしまっている。何か言おうとしているのか、開いては閉じをくりかえしている薄い唇に、己のそれを押し当てた。
子供だましもいいところな小さなキスだったが、ペンギンは今度こそ渾身の力を手にこめてキラーを突き飛ばした。
反動でペンギンは椅子から転げ落ち、床に尻餅をつく。
だがその痛みもペンギンの混乱した頭には伝わってこないようだった。
「な、んでっ・・・え・・・?」
「なんでって・・・」
壁まで後ずさっていくペンギンに近づいたキラーは床に跪くと、ペンギンの手をとった。
「好きだからキスした。・・・それだけだ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
たぶんキラーさんは早く次の段階にもっていきたいと考えてます(笑)
ペンギンさんを受けにすると途端に乙女になってしまうのは何故だろう・・・?もっと男らしい受けを書きたいです。精進しなくては。
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文とか絵とかコスプレとか色々手を出していたりするダメ人間。いろんなことに迷走気味
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