どこにもたどりつかない。 瞳に写るもの 忍者ブログ
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キャスケットと我が家のカゲロウ(51巻の人)の話。
カゲロウについての説明はキャラ紹介をご覧ください。




外の光を完全に遮断した部屋の中。
ランプすら消した薄暗闇の中、キャスケットは静かにベットに腰掛けていた。
トレードマークにしているキャスケット帽は外され、今は膝の上にのせられている。
そしてもう一つ。キャスケットを示すものであるサングラスも、今ゆっくりと伸ばされた手によって外された。

「はい。じゃあゆっくり目ェ開けて」
「………。」

暗闇から聞こえてきた声に導かれ、キャスケットは瞳を露にした。
現れたのは空をそのまま映したような青と、大地のような赤茶色の目だった。
弱い光を放つライトに照らされた瞳は宝石のようにキラキラと輝く。
その輝きを細部まで見つめるのは、暗闇から光を照らし出す男…ハートの海賊団の諜報員兼、船医のカゲロウだった。
カゲロウはハートの海賊団がまだ北の海を進んでいた頃からのメンバーで、キャスケットは週に一度、カゲロウに診察をうけるように言われている。
カゲロウの手にあるペンライトの光の動きに合わせ、色の違う両目が動く。
その目を入念にチェックし、異常のないことを確認すると、

「……はいオッケー。今回も大丈夫っと。」

カゲロウはペンライトのスイッチを消し、部屋を明るくした。
机にあるキャスケット専用と書かれたノートにペンを走らせる。
その隣では突然周囲が明るくなったせいか、キャスケットが眩しそうに両手で目をこすっていた。

「あーあーもう…せっかく検査したのに傷ついちゃうでしょうが。」
「ぅ~…」

キャスケットの両手を掴み、バンザイのポーズをさせるカゲロウの顔には笑みが浮かんでいる。
それに気付いたキャスケットはカゲロウを見上げて「何?」と目を瞬かせた。

キャスケットの目は光に弱い。
それは生まれつきのものでもなければ病によるものでもない。
キャスケットの片目が、キャスケット自身のものではないからだ。
移植手術にあたったのはもちろん船長のローだ。
完全に体と同化しているとはいえ、視力そのものが完全に以前のキャスケットのままとはいかない上、拒絶反応が今後おこらないとは限らない。
そのため、カゲロウは術後の経過を見るため、キャスケットを週に一度検査している。
最初の頃はキャスケットも嫌がっていたものの、「船長命令だ。」と言われてからは大人しくカゲロウの部屋に訪れるようになっていた。

「せっかく綺麗な目なんだから。大切にしなよ?」
「……うん。」

日中はサングラスをしているため見えない瞳がまっすぐに自分を映すのを眺めた。
カゲロウがいつも被っているふわふわとした飾りのついた帽子が見える。

「さってと…そんじゃ。一応だけど目薬さしとこっか」

そしてその表情がニヤリと笑むと同時に、キャスケットの小柄な体がベットの上に沈む。

「えぇ!?大丈夫なんじゃなかったの!?」
「そんな嫌そうな顔しないの。今朝目に海水入ったとか言ってなかった?どうせあの後ちゃんと洗わなかったんでしょ?」
「うぅ…」

目薬が苦手なキャスケットはどうにかこの状況から脱出できないかと思案しているようだが、両手を掴まれた上に、体はベットの上ともなるといよいよ逃げ場がなくなっていく

「…ってか何?この状況?」
「キャスケット君を押し倒し隊?みたいな?」

そしていつの間にかキャスケットの上にカゲロウがのしかかった体勢になっている。

「可愛い子ぶるな!そして押し倒すな!ってか上に乗るなぁぁっ!!」

楽しそうに目薬を手にして迫ってくるカゲロウを、キャスケットは自由になった片手で押し返そうとするものの、体勢が悪いせいかなかなか叶わないようだ。

「はいはい暴れないの。んじゃ右目からいくね~♪」
「いやだぁぁああ!!」

そしていつものような叫び声が、船の中へと響き渡った。




「…またやってるみたいだな。」

談話室でペンギンから針路状況の報告を聞いていたローはニヤリと笑った。

「検査なんて本当はもう必要ないんだろ?やめさせてやればいいものを…」
「ま、カゲロウがどうしてもっつってんだからいいだろ?」

楽しそうに笑う船長にペンギンは呆れたように溜め息をついた。
そういえば嫌がるキャスケットにカゲロウのもとへ行くよう仕向けたのは船長であるローだった。

「キャスもあんな変態に好かれるなんて思ってもみなかっただろうな。」
「嫌がってても律儀に毎週カゲロウの部屋に行ってるアイツも満更じゃないんだろ。いいじゃねぇか楽しそうで」

明らかに船長が一番楽しんでいるだろう。と言いかけたペンギンの口からは「…それもそうか。」という言葉が出てくるのみだった。





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キャスケットいじるのは楽しいですね(笑)
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